おもちトラベルについて、少しだけまじめな話をさせてください。
⚫︎ぬいぐるみとの出会い
私が初めてぬいぐるみを手にしたのは、生まれたときです。誕生祝いとして、ウシのぬいぐるみをもらったのが最初でした。その後はたくさんのぬいぐるみと遊んだり、一緒に寝たり、お別れをしたり、日々を過ごしてきました。ぬいぐるみだけでなく、リカちゃんやシルバニアなど、たくさんのお人形たちも交えてお人形ごっこをするのが大好きな子どもでした。
大人になってワーキングホリデーでカナダに行ったときも、ぬいぐるみを何人か連れていきました。その後、結婚を経て子どもが生まれてからは、子どものお友達として旅行などにいつもぬいぐるみを連れていってました。
ぬいぐるみは長らく家族にとっての旅のパートナーでしたが、2010年ごろ世の中に「ぬい撮り」という写真ジャンルがあることを知ります。私も昔のお人形ごっこ好きの血が騒ぎ、ぬいぐるみを主役にした「ぬい撮り」に夢中になっていきました。
⚫︎ぬいぐるみ専門旅行社として
2018年に入ってからは、instagramでぬいぐるみの投稿を始めました。世界中にぬい撮り愛好家がいて、その人たちと繋がれることに感動!私は子どもの頃から「日本のユニークな文化を世界に伝えたい、仕事にしたい」とずっと思っていたので、ぬいぐるみを通じて世界の人々に日本の色々なものを紹介できることに大きな喜びを感じていました。
ぬい撮りを通して世界と交流できる楽しさにハマッてた同時期、私生活では苦しいときを迎えていました。仕事と家庭の両立の難しさ、女性だけがこのふたつを選択する立場になることが多いことに悔しさも感じながらも頭の中をグルグルさせつつ、多くの仕事や活動をやってみて、自分が本当に送りたい人生を見つけるための模索をしていたのです。
そして2020年、最終的に「ぬいぐるみの旅行がしたい」と思い至りました。まずは仕事というより一緒に楽しんでくれる人が増えたらいいなという思いで「おもちトラベル」を立ち上げることに。活動を開始した矢先、コロナが猛威を振るうようになりました。コロナの渦中に何度かツアーを繰り返すうち、「なかなか出かけられない状況なので、ぬいぐるみの旅を見て気分転換になった」などの感想をいただくようになり、やりがいを感じはじめます。
⚫︎転機を迎えた「おもちトラベル」
そんな中、半年の間に子ども2名が立て続けに入院するという出来事がありました。ずっとベッドで安静にしなければならない生活。子どもたちもしんどかったですが、付き添い入院の私も病院から一歩も出られず、不自由な時間を過ごしました。
「経験は宝」という言葉があります。今の時代、ただ毎日スマホを眺めていてもそれなりに楽しい日々を送ることはできます。でも、他人のコンテンツは、あくまで他人のものなのです。死ぬ直前に「あーあのYouTubeよかったなー」と振り返る人はいません。必ず自分のことを振り返るはずです。自分が見聞きしたり経験したりしたものだけが、自分の人生を彩り、そして豊かにしてきます。最後の瞬間を満足度高く迎えられるのは、自分の豊かな経験からだけではないでしょうか。
旅行は、あらゆる経験の中で最も多く私たちにたくさんの発見や喜び、成長、新しい思考を運んできてくれます。もちろん単純にエンターテインメントでもあります。
私は、リアルで経験することを奪われた入院生活の中で、「ぬいぐるみを通してでも、ぬいぐるみの持ち主さんの糧になるようないろんな体験を届けたい」と強く決意しました。
そして、ぬいぐるみ旅行を、趣味の延長ではなくきちんと仕事にすることにしたのです。
⚫︎これからのおもちトラベル
「全てのぬいぐるみに感動の体験を」をテーマに、たくさんの旅コンテンツを提供できるようにしていきます。別に観光地に限りません。例えば私が暮らす街には、個人の家に入るためだけに存在する踏切があります。
そんな、その土地に住む人には当たり前すぎる、でも他の人からするとびっくり!な場所を発掘したり、聞いたことはあるけど詳しくは知らないものを提供したりしていきたいです。もちろん海外にもぬいぐるみを連れていきたい。
ぬいぐるみを託してくれるたくさんの皆さんに、まだ見ぬ新しい世界をたくさんお届けしていきます。
⚫︎おまけ(おもちトラベルの由来)
あなたは、この世を去る前の最後の一口を決めていますか?
私はもう20年以上おもちと決めていて、家族にも伝えています。特に三重県の名物のあのおもちが大好きです。白くて柔らかくて、あんなに幸せが詰まった食べ物は他にありません。食べ物の中で、この世で一番おもちが好きです。いつでも自分史上最高のサービスを届けたいという思いで、おもちトラベルと名付けました。
また、おもちは日本特有の食べ物です。日本のユニークさを世界に紹介したいという気持ちも込められています。